〜当協会がえい夫人のターミナルケアを終えたあとに〜
まず、こういう形でおえいさんを看取ってくださった宮田さんに感謝します。私が「最高齢になったら、もう医者にかかるよりは、心のこもった介護を受ける方がいいんだ、もう医者はごめんだ」ということを本に書いて出しました。そしたら、それと同じ治療よりもケアの方を主にしてお年寄りを送ろうというお考えの宮田さんに出会った。口では治療から介護へと簡単に言いますが、なかなか介護をやっていくことは難しいことです。そこを、よくやってらっしゃることを、ここへきて分かりました。介護する人と介護される人が、人間的に結びつき、お互いに、この人は信用できる、という感情を両方持っていないといけない。ご飯を食べさせている時に、まず、「ご飯をあがりますか?」と聞いて、本人が「食べる」と言ったら食べさせる。だんだんそれが欲しくなくなるのですよね。それから「食べましょうか?」「食べましょうね」「さあ、食べましょう」と幾つも段階を経て、本人の意思を聞いて、本人の意思を尊重するということだ。妻がだんだん食欲がなくなってきて「アイスクリームが食べたい」と言えば、わざわざ買いに行って下さって、ご飯が食べられないとゼリー状にしたものを作ってくださった。そういうことは、医者では出来ない。病院の看護師も出来ない。介護するプロでないと、そういう心のつながりがないと介護というものは出来ないということを私はわかりました。 1997年11月
故・松田 道雄 医師(小児科医)
著書:『育児の百科』『結核』『日本知識人の思想』『わたしは赤ちゃん』『わたしは2歳』『母親のための人生論』『安楽に死にたい』他 多数。